菅首相は所信表明演説で「2050年、温室効果ガスゼロの脱炭素社会を目指す」と宣言しました。
政策関連銘柄のテーマとして「再生可能エネルギー」が注目されています。
このブログでは私なりにテーマ研究をしています。
シリーズ第3回は「再生可能エネルギーの事業環境」です。
理屈・理論が多くなりがちなトピックですが、基本的な知識を大きくつかめるようにまとめていきます。
第1回はFIT(固定価格買い取り制度)を取り上げます。
☆FITとは
固定価格買い取り制度。英語は「Feed-in Tariff」(料金に組み込む)の略称。
再生可能エネルギーでつくられた電力は、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束しています。
発電事業者にとっては商品(電力)が一定期間に渡って固定された価格で売れるので、事業計画を立てやすくなります。
監督官庁は経済産業省・資源エネルギー庁です。
☆FITの対象となる再生可能エネルギー
太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの5つです。
☆FITに充てられる費用はどこから捻出される?
再生可能エネルギーを買い取る電力会社が、電気の使用者から電気料金にプラスして広くあまねく集めています。この集めているお金が、よく聞く「再エネ賦課金」(再生可能エネルギー発電促進賦課金)です。
企業・団体や一般の人たちは、毎月の電力料金のプラスされる形で再エネ賦課金を負担していることは覚えておいていいと思います。電気料金の明細書で毎月いくらを負担しているのか確認できます。
☆太陽光発電とバイオマスの固定買い取り価格は?
再生可能エネルギーの銘柄群は太陽光と木質バイオマスを扱う企業が多いので、2つの20年度の固定買い取り価格を確認しておきます。
①太陽光(調達期間は10年間)
・10kW~50kW未満 13円
・50kW~250kW未満 12円
・250kW~ 入札制度
②木質バイオマス(調達期間は20年)
・2000kW未満 40円
・2000kW~ 32円
☆FITに対する私の見通し
私は「菅首相の政権の間は、FITが大きく減額されることはない」という見通しを立てます。
FITの原資は税金ではなく、企業・団体や一般の人たちからの電力料金(賦課金)です。景気変動による税収の増減の影響を受けず、徴収する経路も非常に固く確立されているので、原資不足の心配はないでしょう。
菅政権が「2050年までに脱炭素社会を目指す」と宣言している以上、再生可能エネルギー推進を支えるFITは制度として太い柱であり続けるはずです。
裏を返して言うと「FITの制度変更で再生可能エネの企業銘柄が大きく下落したとき」は、買い場の好機になるかもしれません。
参考:資源エネルギー庁の公式サイト FITの基本情報